エモスタという会社をやっている小川です。

LLMによるマルチエージェントシミュレーションによって、社会をシミュレートすることに関心があり目下R&Dをしています。

なぜやっているのか、について比較的地に足のついた説明はwebsiteにまとめているのですが、

ここではもう少し生々しい衝動について書きたいと思います。

きっかけはなんといってもこの論文でした。

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最高に妄想が膨らみましたね。

好きなSFシリーズに、アイザックアシモフのファウンデーションがあるんですが、

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その中に、「心理歴史学」という架空の学問が出てきます。

これは、膨大な数の人間集団の行動を予測する為の数学的手法、でこの分野の第一人者であるハリ・セルダンが帝国の崩壊を予測し、早期に文明が復興するよう色々仕込むというのがあらすじなんですが、これできるじゃないと。(論文の内容からはめっちゃ飛躍してますが)

その予備段階の実験として、初期設定をさまざまに変えた社会を作って、総合的に人口と存続期間が長いパターン抽出したい!という素朴な衝動が生まれました。

果たしてそこにどういう社会が見えてくるのか。

昔、ルソーやホッブスといった哲学者や思想家が、人間の自然状態から出発し社会を形成するに至るシミュレーションを頭の中で行い、社会契約、自然権・人権といったものの存在を主張し擁護しました。そして、その基盤の上に我々は西洋近代的社会システムを構築しました。

果たしてこういった概念や社会はさまざまなシミュレーションにおいて安定して出現するのか、存続するのか、はたまた今我々の知らぬ概念が生まれるのか、気になって仕方ありません。